特別支給の老齢厚生年金を遅れて請求した体験談 ~年金事務所予約のコツ、年金証書の見方、「支給停止理由」とは
年金って65歳以上が対象だと思っていましたが、65歳以前でも人によっては「特別支給の老齢厚生年金」というのをもらえるんですね。
少し先輩の東京在住の知人が、受給権が発生してから1年以上経って、令和3年(2021年)に62歳をとっくに過ぎてからそのことに気づき、遅くなってから申告・申請したとそうで、その請求体験談をいろいろ聞きました。
ここでは、
◆「特別支給の老齢厚生年金」が受給できるお知らせと請求書類がやって来る!
◆さあ、どこの年金事務所に相談・書類提出をしに行く?(特に東京23区の場合)
◆「国民年金・厚生年金保険年金証書」が届いた!支給年金額は?「支給停止理由」とは?
◆老齢厚生年金は、いつ、どうやって支払われるの?受取れるの?
◆特別支給の老齢年金が、65歳の誕生月で終わったら
の6つの章に分けてまとめています。
この「特別支給の老齢厚生年金」は、男性なら昭和36年(1961年)4月1日以前に生まれた人、女性なら昭和41年(1966年)4月1日以前に生まれた人であることが、大前提。それでも全員が60歳からという訳ではなく、生まれた年によって61歳、62歳、63歳、64歳からといろいろなんです。複雑です!
というのも、昭和60年(1985年)に法律が変わって、厚生年金の支給が60歳から65歳に引き上げられたのですが、いきなり65歳にするのもひどい話なので、徐々にスライド式にしようということで、少し低額だけれど特別年金として65歳前に支給しているのです。
▼何歳から「特別支給の老齢厚生年金」をもらえるか、またその年金内容については、下のページの表が分かりやすいです。
⇒ 厚生年金は何歳から受け取れる?(公益財団法人生命保険文化センターのHP)
生年月日以外にも3つ条件がありますが、休職・無職期間が長くない人なら、だいたいクリアしているのではないでしょうか。その条件とは、
(1)保険料を納めた期間、保険料を免除された期間、合算対象期間(いわゆる「カラ期間」★)を合わせて10年以上あること
★合算対象期間(いわゆる「カラ期間」)とは:
国民年金への加入が任意だった昭和36年(1961年)4月~昭和61年(1986年)3月に任意加入しなかった専業主婦などの、国民年金に加入できたのに加入しなかった期間
(2)厚生年金保険などに1年以上加入していたこと
(3)60歳以上であること
よく間違える人がいるらしいのですが、この「特別支給の老齢厚生年金」をもらったからといって、65歳からの本番の年金の支給額に影響はありません。いわゆる「前倒しで年金をもらう」のとは意味が違います。なので、条件にあてはまるなら、遠慮なく申請するべきですよ!
それから、まだ在職中の65歳以下の人だと、得ている所得金額などによって満額受け取れるか、減額になるか、あるいは全くもらえない(支給停止)になるかが決まります。
⇒⇒ざっくり言うと、月々の所得と月の年金額を合わせて28万円を越えなければ全額支給です。2022年4月からは47万円を越えなければ大丈夫になります。下の方でも、少し詳しく触れています。
「特別支給の老齢厚生年金」の受給権が発生する(=申請できる年齢/お誕生日になる)約3か月前に、国民年金機構からとても目立つ緑色の大きな封筒が送られてきます。中に申請書類(=年金請求書(事前送付用))が入っているのですが、これで、申請できると知ることができます。
だから特に、自分で気にしている必要はありません。(下のような封筒が届きます)
ところが知人は、その封筒を確認せずに放置して1年以上経ってからようやく開封したとのこと。この年金は、65歳になるまでに申請をすれば、それまでの分も全てもらえるので、少し申請が遅れても大丈夫なのですが、早くもらうに越したことはないですよね。
確定申告などしている人だと、後から修正申告が必要になると面倒ですし!
申請書類(「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」)には、これまでの年金加入状況などの欄などがあるのですが、もう年金事務所であらかた記入してあり、そういうところは確認をするだけです。主には、名前や住所、振込み口座などを書けばいいようになっています。(年に1度ぐらい年金事務所から、何か月加入しているかお知らせハガキが来ますが、それが基本になっているようです)
それでもいくつか「はい」「いいえ」を選んだりする質問欄があって、見せてもらって少しトリッキーに感じた欄は「雇用保険に加入したことがありますか」という質問のところ。合わせて「雇用保険被保険者番号」も書くようになっているのですが、会社を辞めていたりしたら番号が分からない人もいるかもしれません。最後に雇用保険の資格があったときから7年以上経っていれば、分からなくても済むようになっています。
あとの質問は、そんなに面倒そうではありませんでした。そして、この書類を書いたら、年金事務所に持参するか、あるいは郵送します。年金事務所に行けば、窓口で書いたことを確認してくれるので、やっぱり持っていく方が安心かもしれません。
年金事務所に申請書類を持っていく場合には、予約が必要です。いきなり行くと、混んでいる場合、待たされることがあるそうです。(それに窓口で書いたものを確認してもらったほうが、間違っていた時にすぐ訂正できて早いですよね)
東京にはたくさんの年金事務所がありますが、どこの年金事務所に行ってもOK。となると、どうせなら自宅、あるいは勤務先に近いところが便利ですよね。(年金事務所は、日本全国どこの年金事務所に行ってもかまわないようです)
でも場所によっては、年金事務所がとても混んでいて予約が取りにくいところもあるようです。例えば、知人は3月上旬に電話をして東京の上野か銀座の年金事務所を予約しようとしたら、1か月先まで予約がいっぱいと言われたとか。そこで、空いているところを聞いたら、足立か荒川の年金事務所で、そこであれば数日後に予約が取れるということでした。
一年中こんな状態かどうかは分かりませんが、やはり便利な場所は、年金事務所も混んでいるんですね!
年金事務所に行くときに必要な物は、身分証明書となるもの、マイナンバーカード(なければナンバーのメモ)。あと、うっかり忘れそうなのが、通帳のコピーです。
通帳のコピーは、振込んでもらう銀行口座の証明のためなのですが、「金融機関またはゆうちょ銀行の証明」というところに銀行から印鑑を押してもらえれば、必要ありません。もしそれが面倒で印鑑をもらわないなら、通帳のいちばん最初のページ(金融機関名や名義人氏名などの書いてあるところ)のコピーが必要なのです。
いずれかの方法で、無事に申請書類が出せたら、1か月後ぐらいに証書が届きます。
「国民年金・厚生年金保険年金証書」は、こんな感じのもの。特別に見せてもらいました。
でも実は、この証書を見たとき、「支給停止理由」という欄に「01」という数字が書いてあり、証書の裏側に書いてある説明を読んだら「01」とは「厚生年金保険の被保険者等であるため」という意味だったので、知人はとてもびっくりしたそうです。
「厚生年金保険の被保険者等であるため」というのは、彼女は今も会社勤務で厚生年金保険にも入っているので、そのことなのですが、「支給停止」になるほどの報酬はその会社でもらっていないのです。
60~65歳だと、まだまだ会社勤めの人も多いですよね。
2021年現在は、「その月の標準報酬月額」+「直近1年間の賞与の合計額÷12」と、「老齢厚生年金(年額)を12で割った額」の合計が28万円を越えなければ、もらえる年金金額の満額が支給されます。越える場合は、金額に応じて一部または全額が支給停止になります。
★法改正で、2022年4月からは、47万円を越えなければ満額支給になります。
どう計算してもおかしいと思ったので年金事務所に問い合わせたところ、「支給停止理由」という欄に「01」という数字が書いてある意味は「あなたは厚生年金保険に入っているので、監視対象になっている」ということで、『もし本当に支給停止であれば、上の「支給停止額」の欄に金額が入っています』ということだったそうです。(「監視対象」という言葉は、本当に年金事務所の人が口にした言葉だそうです。スパイ映画みたいで、ちょっとびっくりですね。)
だから無事、満額もらえるそうなのですが、でもそれなら、もうちょっと違う書き方でないと初めて見る人は良く分からなくても当然かなと思いました。
▼証書の一番最初のところで、青い円が「支給停止理由 01」と右に「支給停止期間」が書いてあります。赤い丸のところは「支給停止額」の欄です。
年金は、私も初めて知りましたが、通常、2か月分ずつ偶数の月の15日に支払われるそうです。でも何か必要があれば、奇数月に払い込まれることもあるとか。
さて彼女の場合はちゃんと満額もらえるということで、61歳から資格があったのに62歳を過ぎて申請したため、それまでの未払い分も一緒に支払われるそうです。だから最初のときは、ちょっとまとまった金額になるそうです。証書がまず届いたら、しばらくしてから振込のお知らせが届くとか。そしてその後、偶数月に(もし間が空くなら、奇数月かもしれませんが)、振込まれるようです。
年金は65歳からと思っていた彼女なので、思わぬボーナスになる様子。何かご馳走になろうかな♪
特別支給の老齢年金は、65歳の誕生月まで支払われます。それが終わると老齢基礎年金と老齢厚生年金(いわゆる普通に言う年金)をもらうことになります。
特別支給以降の年金の届け出書類(「年金請求書」)は、誕生月の初め頃(1日生まれの方は前月の初め頃)、日本年金機構本部からを送られてくるのでそれを提出します。(提出しないと、受取れません)
>> こちらの、65歳時の年金の手続き(日本年金機構のHP)もご覧ください
この老齢基礎年金と老齢厚生年金は、65歳から受け取らず、66歳以後に「繰り下げて受け取る」こともできるんです。今は74歳まで繰り下げることができます。繰り下げるメリットは、受取る金額が少し増えること。そして毎年「繰下げ見込額のお知らせ」というのが送付されてくるそうです。
(年金制度の改正により、令和4年4月から繰下げ受給の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられました)
>> こちらの、老齢年金の繰下げ受給のお知らせ(日本年金機構のHP)もご覧ください
また、老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方だけ繰り下げるということも可能で、その場合は「年金請求書」のその項目をチェックして、「年金請求書」を提出します。
「年金請求書」を出しても出さなくても(繰り下げをしてもしなくても)、しばらくすると、今後の「年金額」が書かれた書類が送られてくるので、それを確認しましょう。
★年金制度や法令は改正されることもあります。最新情報は、日本年金機構のHPか、あるいは年金事務所に問合せてご確認ください。
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