ＮＨＫのシブ5時で、老後移住としておすすめの別府を紹介していました。定年を迎えたときや、高齢でも元気なうちに地方都市や気持ちのいい自然がある場所に移住しようと考える人は増えています。

そんなとき役に立つのが、全国各地の「介護や医療の余力」を詳しく検討している資料。作成者は、国際医療福祉大学大学院教授の高橋泰氏で、2015年6月に発表されたものです。

大都市では、公共の介護施設が足りないところが多く、増田寛也元総務大臣を座長とする民間有識者による政策発信組織は、今後10年間で、特に首都圏（1都3県）の介護施設不足は危機的状況になると2015年6月発表しました。そのとき、合わせて、介護や医療に余力のある、老後の移住におすすめの地方都市を発表しているのです。

それによると、医療・介護に余力のあるおすすめの地域は41。「生活の利便性がある程度保たれ、急性期医療や介護も提供する余力のある地域」で、「移住の有力な候補地」とのこと。それを、さらに、介護ベッド準備レベルと急性期医療密度レベルの両方から見たときに優位な地域として、下記が最終的なおすすめになるようです。

介護レベル６×医療レベル７：
室蘭（北海道）、別府（大分）

介護レベル５×医療レベル７：
函館（北海道）高知（高知）、大牟田（福岡）

介護レベル５×医療レベル６：
弘前（青森）、上越（新潟）、米子（鳥取）、岡山（岡山）、坂出（香川）、三豊（香川）、松山（愛媛）、鳥栖（とす、佐賀）、宮古島（沖縄）

介護レベル４×医療レベル７：
旭川（北海道）、帯広（北海道）、釧路（北海道）、秋田（秋田）、松江（島根）

介護レベル４×医療レベル６：
青森（青森）、山形（山形）、富山（富山）、高岡（富山）、福井（福井）、福知山（京都）、若山（和歌山）、鳥取（鳥取）、宇部（山口）、徳島（徳島）、高松（香川）、新居浜（愛媛）、八代（熊本）

「介護レベルが高い」という意味は、例えば東京だとお願いして介護施設に入れてもらう、というのが現状ですが、レベルが高いところでは、候補を３つ４つ出してもらい、その中から選ぶことができる、というぐらいの差があるということです。

●参考：「全国各地の医療・介護の余力を評価する」(pdf)は、こちらから！

実際に別府に移住した人たちがシブ5時では、紹介されていました。

62歳の女性は、子育ても終わって移住してきた人。別府は「必要なものがコンパクトにまとまり、暮らしやすい」「車がなくても楽しめる」ということ。温泉の源泉がたくさんある別府では、地元の人のための温泉（ジモ泉）が100軒ほどあり、ひと月1200円で入り放題ですが、ここで、地元の友だちもたくさんできたそうです。

他にも、大坂から移住して12年の80代女性や、移住して4年になる60代ご夫婦などが紹介されていました。「タクシーの運転手さんが皆優しくて、介助してくれる」「自然を感じて、毎日が充実している」などの感想でした。でも、ある60代男性の人は、別府には仕事がないので年金をもらうようになってから来るなどしないと、暮らせないと言っていました。

別府市としては、このような老後移住は歓迎しているようで、これから予算を取って高齢の人がどうしたら来てくれるのか探っていくそうです。高齢の人が増え介護施設が活発に活用されると、若い人の雇用も増えるから、という理由もあるようです。

でも、老後移住にいいと言われても、移住する前にその土地の事を知っておく必要はあります。まずは旅行で何度か訪れてみて、肌があうかどうか試してみるのもいいかもしれません。

筆者の知人にも、東京23区内で元気にひとり暮らしをしていた高齢の方がいました。でも病気をして老人施設に入った方が安心という状態になっても、要介護度の判定は高くないので、ウェイティングが200人もいる区の老人施設にはいつ入居できるか分かりません。結局は、親戚のいる静岡に移り、そこの老人施設にすぐに入居できました。

もし今はまだ元気でも、若くても、老後をどこでどう過ごすか、ある年齢になったら考えておく必要がありそうです。

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