リドリー・スコットの海外ドラマ「ナンバーズ」が、おもしろい!おすすめ!
映画「エイリアン」「ブレードランナー」「テルマ&ルイーズ」や「グラデュエイタ―」で有名な映画監督リドリー・スコット。アメリカドラマ「グッドワイフ」「グッドファイト」、そして「ブレイン・デッド」などの制作総指揮もしていますが、彼が弟のトニー・スコットとプロデュースした海外ドラマ「ナンバーズ 天才数学者の事件ファイル」は、とっても面白くて緊迫感のあるFBIの犯罪捜査ドラマで、超おすすめ!
リドリースコットならではの、情熱と知性とひねりが感じられる気がします。ホント、すごい!!特に「ナンバーズ」のシーズン1は、シナリオも練りに練られていて最高!もし見るなら絶対にシーズン1から見るべきですよ。
兄(ドン・エプス)がFBIの捜査官で、弟(チャーリー・エプス)が天才数学者。全く畑違いの二人なんですが、一緒にあらゆる事件の捜査を始めることに。
天才数学者の弟が、数学を使って捜査を手伝うんですが、数学にまったく疎い人でも十分に楽しめるようになっています。
そもそも数学を使って犯罪を解くという発想が、すごいなぁと理系アタマではない私は思ったり。でもFBIなどでは、被害者の分析や犯人の追跡捜査に数学を使ったシステムを使っているようですね。
ドラマでも、兄も最初は数学が犯罪捜査にそんなに役に立つとは思っていなかったのですが、弟は、"Everything is numbers.""Numbers don't lie."などと言って捜査を助けます。S1のエピソード1では、兄のスーパーバイザーが宝くじを持っていたので、それを見て「一等の確率は、この宝くじだと4100万分の1だ」と計算してしまい、苦笑いを誘ったりします。
確かに、料理でもおいしい配合比率があったり、デザインには黄金比(golden ratio)があったり、生活のあらゆることが、もしかしたら数学で謎解きできるのかもしれませんね。
「ナンバーズ」は6シリーズあり、シーズン1~シーズン6まで。アメリカの放送は2010年春にシーズン6が終っています。
シリーズでは、FBIが得意な、犯人のプロファイリングも捜査に出てくるし(海外ドラマ「クリミナル・マインド」で有名ですね!)、FBI捜査官の中にも「プロファイラー」が出てきますが、でも解決の基本は数学。チャーリーの考える方程式なんです。
カリフォルニア工科大学の教授&数学部学部長のゲーリー・ローデン氏が、このドラマの脚本に数学のコンサルタントとして関わっていたのですが、数学を基にした脚本が、100話以上もよく書けたなぁと感心します!この番組は、学校で教材として使われることもあったそうです。
例えば、シーズン3に出てくる、チャーリーが口にする数学理論や方程式などをメモしてみると、
エピソード1&2(連続もの):
・ランジュバン方程式、・追跡曲線、・数学的帰納法、・トロール船問題、・交渉ゲーム、・ソートアルゴリズム、・ゴールトン盤
エピソード3:
・二次判別分析、・ネットワーク拡散確率モデル、・カーブレットアナリシス
エピソード4:
・定常運動アルゴリズム、・Again faces, ・組み合わせ最適化問題、・分枝限定法
エピソード5:
・隠れた変数理論、・偏微分方程式、・信号アルゴリズム
エピソード6:・予想理論
エピソード7:
・潮流解析、・集合論、・ダンツイク・ウルフ理論
エピソード8:
・セイバーメトリックス、・認知発見理論、
エピソード10:
・メトカーフ法則、・ネットワーク理論
エピソード11:
・ユークリッドの果樹園、・標的選択理論
エピソード12:
・近隣分析、・漸近的組み合わせ論
エピソード13:・目標別認識アルゴリズム
エピソード14:・脅威マトリックス
こう書くと何だか小難しそうなドラマ、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません!ちゃんと視聴者にも分かるように会話の中で説明があるし、FBI捜査官たちも、そういうことには疎いんです。だから安心して見られますよ。
「ナンバーズ」のもうひとつのテーマは、兄弟。全く違う性格や頭脳の兄弟が、どうやってお互いを認めたり、協力したりしていくか、10代の頃の兄弟の逸話や現在のやりとりで、その辺がちらちらと描かれていて、ほのぼのします。
またそれぞれの兄弟の人生探しも、ひとつのテーマです。
特に兄はシーズンが進むにつれて、FBIという過酷な現場にいて、仕事のことや恋人・結婚に悩み、なんと教会(ユダヤ教)に行ったりもします。あまり重々しく描かれていないのでサラッと見られますが、深いメッセージがこめられていると思います。
リタイアして違う仕事を始めた父の存在も大きく、男同志3人のやりとりが時にハラハラしたり、楽しかったり。こんなオープンな関係の家族ってうらやましい!と思うほど。
このテレビドラマのプロデューサーは、実は、リドリー・スコットと弟のトニー・スコットのふたり。兄弟で、映像制作会社「スコット・フリー・プロダクション」をやっていました。
ふたりがこの「ナンバーズ」に惹きつけられたのも、これが兄弟のストーリーだったからではないか、と出演者は言っています。
ふたりはイギリス出身ですが、リドリー・スコットは英国でTVドキュメンタリーなどを作った後、CM制作で華々しい業績を残し、そして映画監督になり「エイリアン」がヒット、アメリカに移りました。
画家からCMディレクターになった弟のトニー・スコットも、兄の後を追ってアメリカに。映画「トップガン」が大ヒット、映画監督の地位を確かなものにしました。
でも、弟のトニー・スコットさんは2012年8月に68歳で自殺してしまったんですね。脳腫瘍を患っていたとか、そんなことはない、とかで、理由は今一つ分からないようです。抗うつ剤を飲んでいたとは、言われていますが。リドリー・スコットは、『エクソダス:神と王』(2014年公開)を弟に捧げています。
また、役者さんもいいんですよー!
(ナンバーズの公式HPより)
FBI捜査官の兄(ドン・エプス/Don Eppes)は、ロブ・モロー(Rob Morrow)。日本ではあまりなじみのない俳優さんですが、アラスカを舞台にしたTVドラマ「たどりつけばアラスカ」でエミー賞、ゴールデングローブ賞をとり、舞台でも活躍しているそうです。
この捜査官役とは違って、ロブ・モローのフェイスブックを見てみると、陽気でおちゃめな性格っぽい感じがします!(とてもイケメンなので、機会があればきっと日本でも人気がでると思うのですが・・・)
天才数学者で、「南カリフォルニア工科大学」(実際にはありません)で教える弟(チャールズ・エプス/Charles Eppes/チャーリーと呼ばれている)を演じるのは、デイビッド・クロムホルツ (David Krumholtz)。ちょっと甘えん坊の感じがして、弟役がとてもはまっています。
舞台や映画(「アダムス・ファミリー」とか)もでているけれど、TVドラマの「ER」や「ロー&オーダー」にもゲスト出演していたりします。
下記に、ロブ・モローとデイビッド・クロムホルツの「ナンバーズ」に関するインタビュー記事がありました!
> インタビュー記事は、こちら
あと、いい味を出しているのが、ふたりの父親(アラン・エプス)役のジャド・ハーシュ(Judd Hirsch)。ドラマや舞台でゴールデングローブ賞男優賞やトニー賞 演劇主演男優賞などを取っている役者さんです。
他に、チャーリーの相談相手&友人の物理学博士ラリー・フラインハート (Larry Fleinhardt)役の、ピーター・マクニコル(Peter MacNicol)もいいですね。映画「ソフィーの選択」やドラマ「アリー my Love」「24 -TWENTY FOUR-」(シーズン6)などで有名な、コミカルな味がうまい個性的な役者さんです。
また気になるのが、シーズンが進むにつれてチャーリーの恋人、そして婚約者になるアミタ・ラマヌジャン (Amita Ramanujan)役の、ナヴィ・ラワット (Navi Rawat)という、インド系の美人な役者さん。
他のFBI捜査官役の人たちも、とっても個性的ですよ!
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チャーリーの大親友であるラリーは物理に詳しくて、物理や天文学のおもしろい話や比喩も出てくるし、父も建築家で、チャーリーの彼女のアミタも数学者。ちょっとした雑談も理系の話で楽しく新鮮です。
ITやPCの進化には欠かせない数学がひとつのテーマで、高校生や大学生ぐらいの若者が見たら、数学に興味を持ついい教材になるかもしれません!そういう意味でも、社会的にとても有益なドラマです!
また、天才チャーリーも、親友の物理学者ラリーも、人と交わるのが苦手だったりちょっと変わった思考だったり。
研究者とか天才とかって、もしかしたら本当にこんな感じなのかなぁと思ったり、でも、とっても分かる!と思ったり。なんだか新鮮な視点が得られる気がするのも、このドラマならでは、だと思いますよ。
ロブやチャーリーが父と住んでいる実家が、とても素晴らしいクラフツマン様式(クラフツマン・スタイル)の家なんです。
クラフツマン様式とは、20世紀始めごろに南カリフォルニアで多く建設されたスタイルで、特徴は、「屋根の勾配が低く、軒が通常の家より長いこと、また玄関に面した大きなポーチとその上にある切妻屋根を支える柱の形状」。日本人から見ても、ホッとする雰囲気があります。
カリフォルニアのパサデナ地区に多く残っていて、現在、実際に住まいとして使われている1901年に建てられた住宅を、交渉してロケに使わせてもらったようです。
シーズン3のDVD(6枚目)に、この家のことをspecial feature(おまけみたいな感じ)で紹介していて、この家の本当の持ち主も登場しています。
シーズン1の家のシーンは、全てこの家でロケ。シーズン2からは、予算の関係でスタジオにそっくりのセットを創って、そこで撮影をしているそうです。セットのほうが安いんですね。(ただし外観のシーンは、実際のもの)
クラフツマン様式はとてもオープンな造りで、家の中も広々として温かく、素敵です。こういう空間で撮影することで、ロブ、チャーリー、そして父のやりとりが、自然で落ち着いて感じられ、より温かい関係に感じられるのではないかなぁと思ったりします。
家具も、「ミッション様式」の家具とかで、とっても高価なものなんだとか。ロケ中は、高額な保険をかけていたようです。
建築の仕事でない人も、この家の雰囲気や、玄関のアプローチとか、周囲の自然の素晴らしさにきっと感激すると思いますよ。
それからこのドラマ、テーマが数学だけあって、英語のセリフも数学用語が良く出てきます。天才数学者の弟くんがFBIの人たちに説明するとき、つい専門用語で話すんですね。
でもFBIの人たちにはチンプンカンプンで、もっと優しく言ってくれ!、とか、ボトムラインは(どういう意味か)?などと聞くので、その辺の英語が分からなくてもストーリーは理解できるから、大丈夫!
このドラマで覚えた英語は、
・formula ・・・公式(「数学の公式」は、mathematical formula)
・equation・・・方程式 (チャーリーは、"I'll run the equation again"(もう一度方程式をやってみるよ)などと言っていました)
・P-NP problem (P versus PN problem)・・・P対NP問題(実際に、2000年にクレイ数学研究所から出された7つのミレニアム懸賞問題の一つ。懸賞金は100万ドル)
数学には、いまだに解けていない問題や証明を得られていない命題がたくさんあるようですが、P-NP problemは、天才数学者であるチャールズが何かに深く悩んで、しかもその問題には向き合えないときに、解こうとしてしまう数学の難問として全シーズンで何回か登場します。
・hunch(ハンチ)・・・直観、勘(チャーリーの数学による解決とは180度違う、FBI捜査官の勘を言うとき、チャーリーをからかう感じで使われています。Ex.You've got a hunch?)
・female psyche・・・女性心理
・cutting-edge design・・・最先端のデザイン
この海外ドラマ「ナンバーズ 天才数学者の事件ファイル」は、「クリミナルマインド」や「ボーンズ」「シャーロック」などのクライムドラマが大好きな人は、きっとトリコになるはず!(でもそんなに猟奇的な事件はありません!)
楽しい兄弟や父とのやりとりや、数学を使ったまるで謎解きのような捜査がとても新鮮です!
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